Research調査情報

2012年12月4日

立ヶ花表遺跡 平成24年度整理情報(2)

今回の発掘調査では須恵器窯跡3基が見つかりました。このほかに、黒曜石の剝片などが約50点出土しました。この中には旧石器時代の彫器(ちょうき)と呼ばれる石器が含まれており、剝片の多くは旧石器時代の遺物と考えられます。昭和37年の発掘調査でもナイフ形石器、彫器、掻器(そうき)など50点ほどの旧石器時代の石器が出土しています。


【旧石器時代の石器】

左上が彫器と呼ばれる旧石器時代に特徴的な石器です。その他にも、カミソリの刃のような石刃と呼ばれるものが多く見られます。右端は下呂石と呼ばれる、岐阜県下呂市で採取される石材を用いた石刃です。他は、黒曜石製です。



【旧石器時代の石器実測図】

打ち割った方向や、順番を観察して記録した左図のような実測図を作成します。この図を、写真と一緒に報告書に掲載します。


【縄文時代の石器】

石鏃(せきぞく)が2点出土しました。縄文時代の土器や遺構は見つかりませんでした。狩りに来て、落していった石器と考えられます。


立ヶ花表遺跡 立ヶ花城跡

2012年4月24日

立ヶ花表遺跡 平成24年度整理情報(1)

平成19年、20年の調査で、奈良時代の須恵器を焼く窯跡3基が発見されました。その中の1号窯跡は、大きな甕を専門に焼く、長野県内でも珍しい窯跡です。立ヶ花表遺跡の北側には、奈良時代から平安時代の窯跡がたくさん発見されており、高丘丘陵古窯址群(たかおかきゅうりょうこようしぐん)と呼ばれています。

 

【立ヶ花表遺跡遠景(南より)】

窯跡は丘陵の緩斜面で発見されました。丘陵の頂上部はすでに削られて平になっていますが、削平部からは旧石器時代の石器がたくさん出土しています。

 

【丘陵の斜面に窯跡発見】

調査区上空から撮影した写真です。丘陵の南斜面に須恵器窯跡が3基確認されました。写真の下が斜面下方です。

 

【1号窯跡】

須恵器の大甕を焼いた窯跡です。窯跡は斜面に造られた登り窯ですが、大甕を置いたところはほぼ水平になっており、丸底の大甕が安定するようにややくぼんでいました。

立ヶ花表遺跡 立ヶ花城跡

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