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長野県の遺跡発掘2012 見どころ紹介(2)
3月17日(土)から長野県立歴史館にて長野県埋蔵文化財センター速報展「長野県の遺跡発掘2012」が開催しています。ここでは展示の見どころをシリーズで紹介します。なお速報展「長野県の遺跡発掘2012」の詳細につきましては、長野県の遺跡発掘2012をご覧ください。
善光寺平の古代集落・中世の館
浅川扇状地遺跡群(長野市桐原)
遺跡は善光寺平の北部、飯綱山から流れ千曲川に注ぐ浅川により形成された扇状地上に立地します。遺跡群内には、弥生時代後期初頭の「吉田式土器」の標識遺跡である吉田高校グラウンド遺跡や、縄文時代中期・弥生時代中期~古墳時代後期の集落跡である檀田(まゆみだ)遺跡、奈良~平安時代の集落跡である桐原宮西(きりはらみやにし)遺跡など多くの遺跡があります。
【写真中央が調査地、右側の木立ちの中が桐原牧神社】
今回の発掘調査で、古墳時代の竪穴住居跡が9軒、平安時代の竪穴住居跡が55軒確認されました。特に平安時代の住居跡はほとんどが何軒も重なり合った状態でみつかりました。住居跡からは、甕(かめ)や坏(つき)などの日常生活で使われていた食器がたくさん出土しています。
【平安時代の竪穴住居跡、正面の壁際中央にはカマドが設けられています。】
調査区西寄りで南北方向に直線的に延びる幅約3m、深さ約1.5mの堀跡がみつかりました。調査区の東側には中世の武士の居館(きょかん)である高野氏館跡(桐原要害(きりはらようがい))の推定地があり、今回みつかった堀跡はその居館をとり囲む堀と考えられます。
【みつかった中世の堀跡】
奈良・平安時代の住居跡から筆立て付円面硯(ふでたてつきえんめんけん)が出土しました。長野県では初めての出土例です。硯面の直径が16cmと大きく、その作り方もていねいで、古代水内郡の役所(現在の県庁付近が推定される)にかかわりのある人物の所持品であった可能性が考えられます。
【筆立て付円面硯の復元写真】
今回の速報展では、遺跡より出土した古墳時代、奈良・平安時代、中世それぞれの時代の特徴的な遺物を展示し、ご覧いただきます。
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