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甦れ弥生青銅器の輝き-柳沢銅戈の復元-
3月3日(金)に、普及啓発用の教材として復元した中野市柳沢遺跡出土1号および5号銅戈が完成しました。
【柳沢銅戈の3次元データ測定】
平成24年(2012)11月、愛媛大学の吉田広先生と元興寺文化財研究所の塚本敏夫先生が、弥生時代青銅器研究の一環として、当時センターが保管中であった柳沢遺跡出土の銅戈8点の3次元(3D)データを測定されました。
→実物の銅戈の画像はこちら
現代の技術をもってすれば、3Dプリンタで正確に同じ大きさの樹脂製の銅戈を出力することもできます。しかし、弥生人が作った当時の輝きや質感を復元し、手に取って体感したいとの声が高まりました。(画像は5号銅戈)
【コンピュータで鋳型の設計】
青銅器は鋳物です。鋳造専門の長野県鋳物工業組合(事務局:株式会社コヤマ様)に相談すると…。「難しそうだけど、古代人の技術にチャレンジしてみたい」との回答がありました!
3Dデータから設計し、鋳型(雌型)を作ることになりました。
【鋳型の成形】
鋳物砂(セラビーズ)を3Dプリンタから噴射される樹脂で固めた鋳型が成形されました。30mm成形するのに1時間、鋳型ができるのに、4時間もかかります。
【銅戈の鋳造】
念のため鋳型はいくつも作られ、鋳鉄で試したり、湯口の位置を変えたりといった試験を行ったうえで、いよいよ銅合金で鋳造へ。
同じく長野県鋳物工業組合の中で自社に銅鋳物工場を持つ動力ポンプメーカー(株式会社小松製作所様)にお願いして、溶かした銅を鋳型に流し込みます。
→ 動画はこちら。(銅戈青銅流し込みmp4形式、約8.8MB)
出来上がった鋳物は非常に薄く、当初はうまく湯(溶けた金属)が回るか心配でしたが、ちゃんとできました。
【仕上げ】
鋳放された銅戈についた湯口(銅の注ぎ口)を切断し、バリも削りとります。さらにいよいよ全体を磨きます。
実測図や写真でわからない部分は、担当者どうしで議論しました。
【甦る弥生の輝き】
教材用として制作されましたので、ご希望があれば、実際に触ったりして、体感していただくこともできます。
現在、長野県埋蔵文化財センターの展示室に関係資料とともに展示されています。
ぜひ、あなたも弥生青銅器の輝きを見てみませんか。(上:1号銅戈、下:5号銅戈)
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