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「埋文体験デ-」を開催しました。(速報展「長野県の遺跡発掘2012」関連企画)
5月3日(木・祝日)、長野県立歴史館を会場として「埋文体験デー」を開催しました。大型連休で信州を訪れた関西・中京・関東地方の方、ご家族連れ、友達と一緒の小中学校生、歴史館パスポート会員などなど、幅広い年齢層、地域圏から121名の参加がありました。
実物の土器や石器を間近に見て、触れて、埋蔵文化財を楽しく体験していただけたようです。
危ぶまれた雨も朝には上がり、心地よい薫風の中、参加された方には埋蔵文化財センター(通称:埋文センター)が調査遺跡や整理室で行っている作業を4つのブースに分かれて、体験していただきました。
佐久市の遺跡から出土した弥生土器を水洗いしてもらいました。大きな歯ブラシのようなハケで優しく叩くように洗います。「ただの石かと思ったら、きれいな模様のある土器だった」、「こびりついた土は落ちづらいなあ」とタライを囲んで土器談義に花が咲いていました。
発掘調査ではプレハブやテントで丹念に洗浄し、よく乾かしてから出土地点データを土器一つ一つに書き込む「注記(ちゅうき)」作業まで行っています。
歴史館の中庭にある屋外展示には県内の遺跡から移築した敷石住居跡や石棺墓、古墳の石室、五輪塔が並んでいます。ここを遺跡と想定して測量体験をしました。
「片目で覗いて、右手でピントを合わせてごらん。」オートレベル(水準儀)を覗いて、地面に立てたスタッフ(標尺)の目盛をミリ単位まで読み取ります。
発掘調査では遺構平面図に落した測点すべてにレベル(水準値)を記録します。遺構の構造や、遺物の分布状況を理解するための大切な作業です。
「バシャッ」シャッターボタンを押すと小気味よい音とともにシャッターが切れます。発掘調査では、ブロー二―フィルムを用いた中判カメラによる記録写真の撮影を行います。フルオートでコンパクトなデジタルカメラしか見たことない子供たちは、何度も自分の目でピントを合わせてはシャッターを切っていました。(残念ながらフィルムは入っていませんが…)
いつも子供たちに人気のあるカメラ体験コーナーです。
測量も今やペーパーレスが主流です。ここでは、最新の遺跡測量システムを体験してもらいました。光波測量により得られた3次元データは瞬時に野外用ノートPCに無線送信されます。そのデータを元に、モニター上で図面を作成していきます。
発掘調査ではこうしたデジタル測量と、手測り手描きの測量の両者を併用しています。
体験後のアンケートで一番人気だったブースです。
実物の縄文土器や弥生土器の模様や形を拓本にとります。お好みの土器片に画仙紙(がせんし)(中国製の書画用紙)を水で密着させ、墨を付けたタンポで叩いていくと、徐々に土器の模様が紙に写し取れていきます。初めてとは思えない器用さできれいな拓本に仕上げている方もいました。小さい子も手を真っ黒にしながらチャレンジしてくれました。出来上がった拓本は体験修了証と共にパウチして記念に差し上げました。
「埋文スコープ」という実測専用の機器を使用した実測体験です。CCDカメラで撮影した画像が映し出されたモニターを見ながら、紙に石器や土偶の形を写し取ります。手元を見られないので皆さん四苦八苦しながら挑戦していただきました。実測もさることながら、細かな調整の入った端正な石器を間近で観察して、観察記録を書き留めている方もいました。「実物をよく観察する」という考古学の第一歩も体験していただけたようです。
【埋蔵文化財センターという仕事(速報展の展示コーナーより)】
今回の速報展には「埋蔵文化財センターという仕事」というタイトルで、遺跡調査から報告書刊行までの様々な作業について、実際の機器や図面、復元途中の土器などを展示して紹介しました。体験後のアンケートでは「遺跡発掘体験をしたい」というご意見を多数いただきました。当センターでは発掘現場の説明会を行っています。通常の説明会と合わせて発掘作業を体験していただける「体験型現地説明会」も企画中です。随時ホームページでお知らせします。ぜひご参加ください。
「埋文体験デー」は7月28日(土)10時~3時に長野県伊那文化会館でも開催します。
また「夏休み考古学チャレンジ教室」を8月3日(金)・4日(土)の2日間、埋蔵文化財センター(長野市篠ノ井)で開催します。
どちらも詳しい内容はホームページでお知らせします。こちらもぜひご参加ください。
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