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山の神遺跡(やまのかみいせき)
約8,000年前 大町市常盤字山の神
山の神遺跡は、北アルプスの東麓、大町盆地を南流する高瀬川(たかせがわ)の支流、乳川(ちかわ)によって形成された扇状地の中央に位置しています。
約8,000年前(縄文時代早期)のムラ
遺跡からは、約8,000年前の竪穴住居跡(たてあなじゅうきょあと)12軒、土坑(どこう)143基、集石・石列72基、焼土集中45基等の遺構(いこう:人間が土地に残した痕跡)が検出されました。石列が構築されていることや竪穴住居跡に火を焚いた痕跡があることから、短期的なキャンプではなく、「ムラ」の跡だと考えられます。
日本最古の「コ」字状の配石遺構
遺跡の調査範囲のほぼ中央に、拳大から人間の頭ほどある乳川の川原にある花崗岩(かこうがん)が、並べられた「コ」字状の配石遺構(東西11m・南北9m)がありました。縄文時代の「ランドスケープ」(古代人の世界観を表す記念物)だとする説もあります。縄文時代早期の10mを越える方形の石列・配石は、熊本県の瀬田裏(せたうら)遺跡の配石遺構(東西21m・南北7m)だけです。また、年代的にも山ノ神遺跡の配石遺構は、縄文時代の最古級に位置づけられます。
「トロトロ石器」とは?
遺跡からは国内最多となる41点の異形部分磨製石器(いけいぶぶんませいせっき)が出土しています。一見石鏃のような形をしていますが、先端が丸く、尖っておらず、大きさも、長さ1.8~9.2cmとまちまちで、材質も石鏃では、あまり使われないような黒色の脈がはいった青灰色のチャートが多い特徴があります。形が重視され、特定の色の石材だけで作られていることから、実用品ではなく、祭祀に関係する石器だとも言われています。また、全体に表面が磨かれたような光沢を帯びまるで、固まった物が溶けて軟らかくなっているようにも見えるため、「トロトロ石器」と呼ばれるようになりました。
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