昨年度に引き続き、ふじ塚遺跡の発掘調査が始まりました。昨年度は、遺跡内に所在した「ふじ塚古墳」が戦国時代~江戸時代初頭の礫石経塚(れきせききょうづか)であることが判明しました。礫石経塚からは、小石に墨でお経を書いた礫石経が約4万点発見され、大きな成果をあげることができました。
本年度の発掘調査は、調査区が6か所ありますが、礫石経塚発見地点のまわりも調査します。礫石経塚に関係する遺構や遺物が発見されることが予想されます。
本年度の調査区
【遺跡遠景】
ふじ塚遺跡(写真白色矢印)は、諏訪湖の北側(湖北地域)にある南向きの斜面に立地します。遺跡の東側を流れる砥川の対岸には、下諏訪から佐久方面に通じる中山道(現、和田峠)が通っています。
【発掘開始式】
下諏訪町役場から、しごと創生支援施設「ホシスメバ」の一画をお借りして、現場事務所としています。
4月20日、埋文センター所長が来跡して開始式を行いました。
【発掘作業の様子】
手作業で表土をはぎ、遺構・遺物を検出している様子です。写真上に下諏訪町と岡谷市の市街地が見えます。
【トレンチの精査で見つかった土坑】
土坑は直径約80cmの円形で、深さ約70cmです。埋土には直径約10cmの礫が混入しており、一昨年度、ふじ塚遺跡の西側にある一の釜遺跡で調査した土坑によく似ています。
【トレンチ調査の様子】
手作業でトレンチを掘り、土層の堆積状況や遺構・遺物の存否を確認している様子です。掘り下げる過程で縄文土器片と黒曜石片が出土しました。トレンチ底面の精査で黒色土の落ち込みが見つかりました。今後、重機を使って表土をはぎ、面的な調査を行うことで落ち込みの規模・形状などを捉える予定です。