弥生時代の鉄製品の新知見! |
2か年の調査(2019・2020年)で出土した鉄製品2点のX線撮影を行ったところ、錆で覆われて見えない部分の観察から、新たな発見がありました。
一つは木器加工に使用するような小さな鉄製工具、もう一つは小さな鉄製品の未成品の可能性が高まったことです。
【鉄製工具か(弥生時代中期)】
X線写真では逆L字状の段が観察できる(赤丸部分)。この部分は刃部と茎(※)を分ける関(まち)に当たると想定されます。写真上が刃部、下が茎と考えられます。※茎(なかご:柄に装着する部分)
長さ49×幅9×厚さ8mm、重さ6.7g。
弥生時代中期後半の竪穴建物跡出土。
【鉄製品の未成品か(弥生時代後期)】
薄い木の葉状に加工されている。
写真赤丸部分を拡大して(下画像参照)観察すると、端部に面があることから、鉄素材から切り離したままの可能性があります。
長さ33×幅19×厚さ8mm、重さ4.3g。
弥生時代後期前半の竪穴建物跡出土。
【上の鉄製品端部の拡大写真】
今後、X線CT検査等のより詳細な分析を進めた後、錆取りや樹脂含侵等の保存処理を行います。
南大原ムラでは、従来の石器では難しい、木器加工に用いる鉄製工具を製作していたようです。近年、日本海沿岸で、木器加工を専門に行っていたと思われる集落遺跡が、発見されています。最新の文物が入るシナノの玄関口として、いち早く先端技術を手に入れていたのかもしれません。