森平遺跡では、弥生時代中期後半の竪穴住居跡が22軒みつかっています。その大半は火を受けた焼失住居跡で、住居を廃棄する際に焼却したものと考えています。今回はそのなかでも珍しい土器が出土した住居跡について紹介します。
この住居跡は約6.1m×約5.2mの大きさです。火を受けており、土器や石器などに混じって炭化材も多くみられました。
床面からはほぼ完全な形に近い土器がいくつも出土しました。そのなかに、口縁を逆さにした状態で出土した土器がありました(上段の写真 赤矢印・下段の写真)。
壺の一種とみられますが、あまり類例がない珍しい土器です。口縁部の最大径は約18㎝、高さは約15㎝です。
口径は約9㎝ですが、上面には2個で1組となる孔が2箇所あります。ふたをひもで留めていたものと考えられます。遺跡からは出土していませんが、おそらく木製のふたではなかったかと思っています。何を納めていたのかは不明ですが、通常の壺とはかなり形が異なるため、特別なものを納めていた可能性があります。