長野県立歴史館で開催中の「春季展2020年長野県の考古学」と、当センター展示室の南大原遺跡出土品を紹介します。県立歴史館では弥生時代中期のムラ、センター展示室では弥生時代後期のムラの様子を紹介しています。来場をお待ちしています。
【石から鉄へ―先進技術に挑んだ弥生時代のムラ】
弥生時代中期後半(約2,100年前)、南大原の弥生人は竪穴建物(たてあなたてもの)に暮らし、木棺墓(もっかんぼ)に葬られる人もいました。ムラの中心には柱を立てたと考えられる穴が環状に並んでいます。共同の儀礼の場なのかもしれません。縄文時代以来の石器を使う一方で、石鎚(いしづち)や砥石(といし)、台石(だいいし)を用いて、鉄器を加工していました。
【弥生時代中期の土器(歴史館春季展展示)】
現代と同じように用途に合わせて様々な形があります。煮炊用の甕と甕の蓋、貯蔵用の壺、盛付用の鉢などです。土器の形によって、表面の文様はおおむね決まっています。
【弥生時代中期の石器(歴史館春季展展示)】
小鉄片が出土し、鉄器加工を行ったと考えられる竪穴建物跡で出土した石器です。鉄器加工にかかわる道具と考えています。
【礫床木棺墓から出土した管玉(歴史館春季展展示)】
管玉(くだたま)は、写真右側の小さな礫床木棺墓(れきしょうもっかんぼ)から出土しました。ストロー状に紐を通す穴があけらた管玉は、硬い緑色の石で、北陸地方の玉作りを行った集落からもたらされた交易品の可能性があります。
【弥生時代中期の鉄製品(県立歴史館春季展に展示)】
弥生時代中期後半の竪穴建物跡から出土しました。
矢じりなどの武器なのか、木工具などの刃先なのか、用途は解明されていません。
【弥生時代後期の竪穴建物跡(埋文センター展示室)】
長さ5.9m、幅4.2mの隅丸(すみまる)長方形をした四本柱の建物跡です。
床の中央奥寄りに小さな炉跡があります。
【弥生時代後期の甕(埋文センター展示室)】
細い棒を束ねた施文具で、波状文や横引き文(簾状文)が付けられ、ボタンのような貼付文も見られます。この時期の北信地方で一般的な文様の甕です。
【弥生時代後期の磨製石鏃(埋文センター展示室)】
弥生時代後期の竪穴建物跡から出土しました。