-弥生時代の石器を観察する-
報告書刊行に向けて、4月から弥生時代の土器と石器の整理を開始しました。今回は、輝石安山岩の石器を取上げます。割れたものが多く、接合作業で、割れた面が接合するものが4例見つかりました。折れた面で接合するもの、打ち欠いた剝離面で接合するものなどがありました。その多くは、鋭い縁辺があり、刃器と呼ばれる切る道具です。また、刃器とは異なり、縁辺部が著しく摩耗した擦り切り具と思われる石器も確認されました。石包丁や玉類などを作る時に用いる、石を擦り切る道具であったかもしれません。
打ち欠いた面で接合しました。焼けて黒い部分があります。大きな石を打ち欠いて薄い板状の石器にしているようです。
石器は複数に割れています。まだ見つかっていない部分もあり、全体の形状は不明です。使用の結果割れたのか、意図的に割ったのか、謎が残ります。
刃先が磨滅してつるつるになっています。板状の石を折り割るために溝を付ける擦り切り具と考えられます。管玉などの製作に用いられますが、磨製石鏃、磨製石包丁などの製作に用いられたのかもしれません。
「長野県の遺跡発掘2014」で展示しています。(長野県立歴史館で6月1日まで開催中)