須恵器窯跡から出土した須恵器の接合作業中に、表面や割れ口にブクブクと泡立って膨らんだかたまりをみつけました。大きいもので5mmほどのかたまりをルーペでよく観察したところ、熱を受けて発泡した黒曜石だとわかりました。黒曜石の発泡が原因で、焼成中に割れてしまった須恵器もあるようです。
遺跡やその周辺の地層には、もともと八ヶ岳の噴火で飛んできた黒曜石が含まれています。それらが、偶然混じり込んだと考えられます。この黒曜石の混じる粘土の特徴から、奥日影窯跡で焼かれた須恵器の供給先がわかるかもしれません。
【発泡した黒曜石】
須恵器の蓋(ふた)です。スポンジ状に大きく膨らんでいます。たくさんの気泡が見えます。
【飴状の黒曜石】
須恵器の盤(ばん)です。溶けて飴(あめ)状になっているものもあります。
【自然の地層に含まれる黒曜石】
大きさには大小あります。大きなものはまれで、1cm程度からそれ以下の大きさのものが多そうです。
奥日影遺跡は、平成20・22年度に発掘調査をおこないました。今年度はいよいよ本格整理作業を始めます。遺物の接合や実測、パソコンでの遺構図面作成やデータの整理などの作業をおこなっていきます。
【金属器管理カードの作成】
錆びて脆くなった金属器の現状を写真撮影して、保存処理に向けての管理カードを作成しています。
【遺構図面の作成】
パソコンを使って、発掘調査で記録された手書き図面をトレースし、デジタル図面を作成しています。
<お知らせ>
9月11日(土)、現地説明会を開催します。詳細はホームペ-シ遺跡見学会の゙お知らせ欄をご確認下さい。
【遺跡の全景】
・発掘調査地を北側の上空から望んでいます。写真中央が公開する調査場所です。
・まん中にある青いシートの下に、須恵器を焼きあげる窯跡(SK222)があります。
・ぜひ、現地にお越しいただき、遺跡をご覧ください。
【須恵器を焼く窯跡】
・土坑番号222(SK222)の窯跡です。写真の上が焚口(たきぐち)で、下が焼成室(しょうせいしつ)にあたります。焼成室には天井など窯体(ようたい)部分が崩落した状態で残っています。
・現在調査中で、ちょうど見ごろです。