12月16日に今年度の調査が終了しました。古墳時代後期の古墳(円墳)1基、平安時代後半の竪穴住居跡18軒、土坑153基、溝跡3条、中世の礎石建物跡1軒など多くの遺構が発見されました。
【古墳(円墳)】
野沢地区を見下ろすことができる丘陵中腹で、これまで知られていなかった古墳が発見されました。墳丘の直径は約11mで墳丘の裾には二重の列石が並んで検出されました。玄室からは人骨や直刀、鉄鏃などが出土しています。
【平安時代の集落跡】
平安時代後期の竪穴住居跡や土坑等がみつかりました。出土遺物では多量の土器・石器と共に鞴(ふいご)の羽口や鉄滓が出土しました。小鍛冶等を行っていた可能性が考えられます。
【礎石建物跡】
2間×3間の建物が想定されます。単独で存在したことから、庵やお堂のような建物が想定されます。
4月から開始した調査も7か月が過ぎました。今までに調査した遺構は、平安時代の集落跡から竪穴住居跡が17軒、土坑150基、溝跡2条などがあげられ、同時期の遺物が多量に出土しています。
現在は、中世の礎石建物跡1軒と、7~8世紀ごろの遺物が出土している古墳を調査しています。
【古墳のようす】
古墳は耕作地の造成などにより破壊されていますが、墳丘や周溝が残存し、内部の横穴式石室も確認できました。
墳丘の裾近くには石列がめぐり、この裾の石間の長さから復元直径は約11mの円墳と考えられます。
南に出入り口を設けた横穴式石室の玄室(げんしつ)(遺体を安置する部屋)は、長さが4.3m、幅は奥壁部分で1.6mです。高さは天井をはじめ上部が失われているため0.8mしか残っていませんでした。
【玄室から出土した刀】
玄室中央部の西側床面では、全長約56㎝の直刀が出土しました。刃部の長さは約46㎝、幅は最大で2.5㎝です。土砂の間から、ハバキ(刀のさやを固定する金具)や、足金物(あしかなもの)(刀を腰に付けるための金具)などもみえはじめています。
【玄室から出土した鉃鏃】
直刀が出土したさらに奥の側壁寄りの床面では、長さが約13~14㎝の鉄鏃が、現在のところ19本出土しています。
【古代の遺構検出】
調査区の北側斜面で、古代(平安時代後期)の遺構が重複してみつかりました。2軒の竪穴住居跡と1基の土坑墓、1基の焼土跡です。遠方に見えるのが、南側の調査区です。
【平安時代後期の土坑墓の出土遺物】
土坑墓から灰釉陶器と土師器の椀が出土しました。灰釉陶器の下からは、鎌や鏃(やじり)と考えられる鉄製品もみつかりました。
【調査区南側の遺構検出作業】
調査区の南側では、5~20㎝ほどの礫を多く含む地山層から竪穴住居跡や土坑墓など複数の遺構が検出されています。出土する遺物から平安時代後期と考えられます。