下久堅バイパスの建設に伴い、飯田市下久堅地区の南の組塚平遺跡、南の組久保田遺跡の発掘調査を実施しました。今回の調査範囲からははずれていますが、南の組塚平遺跡内の北東寄りには塚平古墳があることから、調査区内にも古墳があったと思われます。また、南の組久保田遺跡は塚平遺跡より一段低い段丘面にあり、畑地より打製石斧、須恵器片、土師器片が採集されていることから、集落跡が広がっていたと考えられます。
【天竜川を隔てて望む南の組塚平遺跡・南の組久保田遺跡】
南の組塚平遺跡と南の組久保田遺跡は、飯田市下久堅地区の天竜川の左岸、飯田市街地が一望できる竜東(下久堅)地区の西側斜面に位置し、段丘と傾斜地が小さな沢によって切られた狭い平坦面上にあります。
【飯田市街地を望む平坦地(南の組塚平遺跡】
南の組塚平遺跡では、10本のトレンチにより確認調査を行いました。トレンチから土師器片が1点出土しましたが、遺構は認められませんでした。調査地点は後世の造成により削平を受けたり、盛土されていたようです。土器が出土していることから、調査地点の周辺には古代の遺構があったと思われます。
【石室の一部が残った塚平古墳】
下久堅下虎岩地区には、8基の古墳が登録されていますが、その一つ塚平古墳が南の組塚平遺跡の北東部にあります。墳丘の大部分は消失していますが、基底部が残り、石室の一部(玄室)が露出していました。調査の結果、古墳周辺から須恵器や金属製品の破片がみつかりました。
【トレンチ調査状況(南の組久保田遺跡)】
南の組久保田遺跡では2本のトレンチにより遺跡の確認調査を行いました。トレンチ内では遺物や遺構は認められませんでしたが、調査地点の表土からは須恵器の蓋の破片が出土しました。本遺跡の東側(山側)では南の組塚平遺跡と同じく、後世の造成を受けたことがわかりました。