書名:立科町 新城峰遺跡
副書名:防災・安全交付金(道路)事業に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書
シリーズ番号:109
刊行:2016年(平成28年)3月
国道254号立科町宇山バイパスに伴う新城峰遺跡の発掘調査報告書を3月に刊行しました。遺跡は周囲を谷に囲まれた尾根に立地し、尾根頂部から東側緩斜面で中世(16世紀後半)の集落跡が発見されました。検出された遺構は竪穴状建物跡3軒と掘立柱建物跡1棟などです。出土遺物は少なく、煮炊き用の内耳鍋がほとんどで少量の土師質皿があります。陶磁器類は大窯の稜皿が1点出土したのみです。16世紀後半、佐久地方は武田氏の侵攻、武田氏滅亡後には織田氏が進出、さらに織田氏滅亡後は北条氏・徳川氏が進出するなど不安定な情勢にありました。新城峰遺跡に一時的に居を構えた人びとは、こうした戦火を逃れてきたのかもしれません。
-新城峰遺跡の調査が終了しました-
新城峰遺跡の発掘調査が11月に終了しました。当初、山城跡と考えられていた新城峰遺跡でしたが、今回の発掘調査では山城に関連するような遺構はみつかりませんでした。しかし竪穴建物跡や掘立柱建物跡、また多くの中世の土器などがみつかり、中世集落の遺跡だということがわかりました。当時の山間部など傾斜地の利用方法を考える上で貴重な成果になりました。
【新城峰遺跡遠景】
東側上空からみた遺跡のようすです。
【竪穴建物跡の調査】
土の色の違いに気をつけながら調査しています。西日が直接当たると土の色がみえにくくなるので一輪車で影をつくりながら掘り下げています。
【中世の土器】
内耳鍋とよばれる煮炊き用の鍋の破片が多くみつかりました。
-新城峰遺跡の調査を開始しました-
新城峰遺跡は、北佐久郡立科町山部地籍にあり、中山道の松並木で有名な笠取峠近くの尾根にあります。調査範囲一帯の樹木の伐採作業が終了し、本格的な調査を開始しました。
昨年、町教育委員会による試掘調査で新しく発見され、中世の土器片が出土したことから、遺跡近くにある古刹津金寺との関係が想定されています。
【遺跡近景】
写真中央の木のない部分が調査範囲となります。尾根を縦断して調査することとなります。
【調査風景】
重機で表土を取り除き、遺構や遺物の存在を確認するため調査面を精査しています。
【遺跡見学会】
立科町教育委員会主催で遺跡見学会が開催されました。子供たちも興味深く見学していました。
【発掘体験】
遺跡見学会では発掘体験も行い、はじめての土器発掘に子どもたちの歓声が上がっていました。