―報告書作成も終盤戦に突入!―
年度末の報告書刊行にむけて、遺跡のまとめ作業も佳境に入ってきています。ねごや遺跡の発掘調査も10月末で終了し、壁田城跡と併せて3遺跡を1冊の報告書にまとめます。ここでは、整理作業を行うなかでわかってきた2つの遺物の情報をお伝えします。
【土器片のリサイクル】
栗林式の壺破片の1か所に磨痕が観察できました。壺の胴部破片の1側面を横方向に磨っています。出土した多くの土器片のなかから、磨痕がある壺の胴部破片3点と片口鉢の口縁部破片1点をみつけました。
【土器器面調整具】
破片は、指で摘まむのに適当な大きさであること、横方向の磨痕が残存すること、磨痕面がやや湾曲しているという特徴があります。これらのことから、破片を工具と仮定した場合、身近な対象としては、土器の器面を平滑にするための道具が考えられそうです。
【県内初出、古墳時代中期のロクロガンナ】
本例は、先端の形、柄(身)の長さ、幅から「ロクロガンナ」の可能性が高い製品です。木工用「ロクロ」は、弥生時代から使用されていたと考えられています。古墳時代には確実にその仕掛けはあり、木地を削る工具として「ロクロガンナ」が使用されていました。西日本には出土例が確認されていますが、長野県内では初出です。この発見により、古墳時代中期には、ロクロを使用した木工技術が長野県北部に存在した根拠が高まりました。長さは28.5cmあります。