7月に入り、調査も中盤となっています。遺構の調査も進み、遺跡の全体像がしだいに明らかになってきました。6月に調査区の中央部で発見された円形の溝跡は、調査の結果「平地建物跡」の可能性が非常に高いということがわかりました。このほかにも、竪穴住居跡、掘立柱建物跡、「落とし穴」状の遺構や柵列と思われる土坑などが発見されており、さまざまな種類の遺構がある遺跡であるとわかってきました。今後は個々の遺構だけでなく、琵琶島遺跡全体の集落としての性格などを含め、さらに調査を進めていきたいと思います。
前回紹介した円形の溝跡は、調査の結果、北陸地方に類例のある「平地建物跡」である可能性が高いことがわかりました。しかし、一部には溝が浅く柱穴を伴わないなど長野県独自の特徴も見られることから、今後、長野と北陸との関係にも追究が必要です。
SD01の北西側に、新たな平地建物跡と思われる溝跡が発見されました。一部は耕作等により破壊されていますが、残存している部分は状態が良く、遺構の特徴がさらに明らかになるものと期待しています。
平地建物跡が発見された調査区中央部からは、竪穴住居跡も発見されました。残念ながら、大部分は現代の耕作などで破壊されていました。今後は、「竪穴住居跡」と「平地建物跡」には、時差や機能差があるかどうか、検討していかなければなりません。
調査区南側からは、さらに「落とし穴」と思われる遺構が発見されました。小判型の長さ1mほどの穴の底部からは、小さな窪みが発見されました。これは、落ちた獲物が逃げられないようにするための、杭を打ち込んだ跡ではないかと思われます。