長野県埋蔵文化財センターは、辰野町北沢東工場適地の開発事業に伴い、沢尻東原(さわじりひがしばら)遺跡の発掘調査を行っています。場所は中央自動車道伊北IC横にある長野オリンパス伊那事業所の東側です。発掘作業は4月~11月まで実施する予定です。この遺跡は辰野町教育委員会による確認調査が事前に行われ、縄文時代中期(約5,000年前)の集落跡がみつかると考えています。 地域の皆様のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
【発掘調査の開始】
発掘調査では、最初に重機を用いて地表から竪穴(たてあな)建物跡(住居跡)などの遺構がみつかる地層まで掘り下げます。
沢尻東原遺跡では、御嶽山の火山灰に由来する黄色い土(ローム層)まで掘り下げると、竪穴建物跡の炉石や遺物が出土しました。
【竪穴建物跡を発掘する】
重機を用いた後は人力による発掘を行います。写真の白線は竪穴建物跡の範囲です。直径は5.6m、床までの深さは30㎝程あります。現在3軒の竪穴建物跡を調査中です。
【炉を発見】
縄文時代中期の竪穴建物は床の中央に石囲炉が作られています。写真の石囲炉は大きな石を円形に並べてあり、直径は1.3m、深さは20㎝程あります。炉の内には焼土や灰はなく、底面に石が敷かれていました。これらの石には火を受けた様子がありません。炉を使い終えた後に敷き詰められた可能性があります。
【出土した遺物】
遺跡からは縄文人が使用した道具が出土します。
土器片は竪穴建物跡内から多くみつかります。土器の表面に棒を押し当てたり、粘土ヒモを貼り付けた文様が多くみられます。
【石鏃】
石鏃(せきぞく)は矢の先に装着したと考えています。和田峠周辺で採取された黒曜石を用いたと推測しています。
【石斧】
打製石斧(だせいせきふ)は土を掘るための道具と考えています。