兜山遺跡の発掘調査が終了しました。調査では古墳の横穴式石室の構造や、後世に石室が再利用されたことなどが明らかになりました。
本古墳の石室は遺体を安置する部屋(玄室)とそこから外部につながる通路(羨道)とを、門状の石によって分ける構造をもち、内部から鉄鏃(鉄製の矢じり)や刀子(ナイフ)、土師器坏・埦、青磁碗、人骨が出土しました。このうち、鉄鏃と刀子は最初の埋葬やその後の追葬に伴う可能性がありますが、土師器は平安時代、青磁碗は鎌倉時代のものです。後世に石室が再利用されたことが考えられます。
写真の向かって左側の壁から石室の内側にやや張り出した石を境にして、奥が玄室、手前が羨道です。
上の写真で玄室の床に敷き詰められている小石を取り除くと、その下にやや大ぶりの石が敷かれていました。
石室の外側には、裏込めとして大小の石がぎっしりと詰められていました。これらは古墳の近辺から運ばれたものとみられますが、残っていたものだけでも7トン以上あり、古墳づくりにはかなりの労働力が投入されたことがうかがえます。
これらの土器は平安時代のものです。後世に石室が再利用されたことを示す資料として注目されます。