満り久保遺跡はこれまで平成21年・25年度に調査を行い、旧石器時代の遺物が多数みつかっています。今年度は前回の調査地の西側を調査しています。
2m四方のグリッドを設定し、市松状に掘り下げていきます。今のところ、耕作土から黒曜石製の石器が3点、剥片が数十点出土しています。耕作土からは自然石の黒曜石も50点以上みつかっています。出土地点には白い棒を立てて記録をします。
槍先の形をした石器(槍先形尖頭器)です。写真左側の一部は破損しています。
満り久保遺跡はこれまで平成21年・25年度に調査を行い、旧石器時代の遺物が多数みつかっています。今年度は前回の調査地の西側を調査しています。
2m四方のグリッドを設定し、市松状に掘り下げていきます。今のところ、耕作土から黒曜石製の石器が3点、剥片が数十点出土しています。耕作土からは自然石の黒曜石も50点以上みつかっています。出土地点には白い棒を立てて記録をします。
槍先の形をした石器(槍先形尖頭器)です。写真左側の一部は破損しています。
― 標高870mの地に暮らした旧石器人 ―
満り久保遺跡は、千曲川と大石川をのぞむ河岸段丘上にあります。平成20年度の県教育委員会による試掘調査と平成21年度の当センターによる発掘調査では、槍先形尖頭器や細石刃・細石刃核などを含む旧石器時代の石器や剥片が3200点以上出土しました。しかし、これらの石器は、耕作土からみつかったもので、当初の位置や層位を確定できませんでした。今回の調査対象は町道下の部分で、範囲は狭いものの、これまでみつかった遺物分布の隣接部にあたり、石器包含層の確定につなげられればと考えています。
【発掘調査のようす】
耕作土中からの石器の出土が予想されていました。このため、道路部分を取り除いた直下から調査を実施しました。道路に沿って2×2mのグリッドを設定し、調査を始めました。耕作土中から、黒曜石の細石刃・剥片・砕片、縄文土器片などが出土しています。(遺物がみつかった場所に竹串が立っています。)
耕作で撹拌されていない土の中からも黒曜石製の尖頭器がみつかっています。
-旧石器時代の石槍-
満り久保遺跡の発掘調査は平成21年におこなわれました。旧石器時代の終わりに近い時期の槍先形尖頭器(やりさきがたせんとうき)と呼ばれる旧石器時代の石槍が出土しています。今年度は石器の洗浄、注記、実測、トレース、接合などをおこなっています。
【槍先形尖頭器のトレース】
実測した槍先形尖頭器を報告書の図版として利用するために、インクでトレースしています。石器を実物大で図に描きます。石器が打ち割られた順序や石材を表現しながら描きます。
【石器の洗浄】
石器を傷つけないように、超音波洗浄機で土を落とします。
遺跡は八ヶ岳東麓、麦草峠の黒曜石が点在する大石川と千曲川が合流する北西側の段丘上にあります。今回の調査は中部横断自動車道の建設に伴うもので、これまでの調査で、旧石器時代の黒曜石製の石器や剥片(はくへん)など約1,500点が出土しています。また、縄文時代の土器片・石器、古代の土器片も少量ですが出土しています。
北側の谷状の地区からは、溝跡や土坑が検出されました。縄文時代の石斧(せきふ)・石鏃(せきぞく)などの遺物も少しですがみつかっています。
南側の尾根上の地区からは、黒曜石で作られた尖頭器(せんとうき)・細石器(さいせっき)・細石核(さいせきかく)などの石器や剥片(はくへん)がみつかっています。ほとんどが耕作土からの出土ですが、約1,500点もみつかりました。
出土した細石核。細石核は、小さな長方形でカミソリのような鋭い石器をつくりだすもととなった石です。
石器の分布や密度の傾向を把握して、石器製作を行っていた場所などを推測する資料とするために、石器の出土位置を1点ずつ記録します。
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