書名:濁り遺跡 久保田遺跡 西一里塚遺跡群
副書名:中部横断自動車道建設に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書4 -佐久市内4-
シリーズ番号:106
刊行:2012年(平成24年)3月
佐久市塚原・平塚・岩村田地籍に所在する3遺跡を収録した報告書『濁り遺跡 久保田遺跡 西一里塚遺跡群』を3月に刊行しました。中部横断自動車道建設に伴う発掘調査では最初の報告書刊行となります。
濁り遺跡と久保田遺跡は隣接し、一連の遺跡と考えらます。掘立柱建物跡2棟、溝などからなる9世紀後半の集落跡が発見されました。遺物では墨書・刻書土器や木製品が出土しています。
西一里塚遺跡群では弥生時代中・後期の集落跡、墓跡および平安時代から近世以降の水田跡が発見され、佐久地方では調査事例の少ない低地利用の様子が明らかとなりました。弥生時代の遺物では人形土器や鉄釧・鉄剣などの稀少遺物の他、建築部材や農具などの木製品が出土したことが特筆されます。
濁り遺跡からは墨書・刻書土器が破片資料も含めて計57点出土しました。「人」(あるいは「入・「∧」)と書かれた墨書が最も多いですが、写真の「有」や「南」といった刻書土器もみられました。
西一里塚遺跡群では木製品が約230点出土しています。写真は弥生時代後期の木材溜まりから発見されたもので、建築部材の破風板です。長さ約123㎝の大形品です。
写真は、西一里塚遺跡群から出土した弥生時代の人形土器です。顔の一部のみですが、以前整理情報で紹介したものを含め、2点の人形土器が発見されたことになります。