Research調査情報

2019年12月4日

一の釜遺跡 2019年度発掘調査情報(3)

11月末で一の釜遺跡の調査を終了しました。調査区は南向きの急傾斜地で、4段の平坦面に分かれていました。上段の平坦面では遺構がみつかりましたが、それより下方の中段、下段、最下段は後世の造成によって削平や撹拌を受けていたため、遺構はありませんでした。


【上段全景】

縄文時代前期末から中期初頭(約5,500年前)の竪穴建物跡2軒、土坑18基と平安時代の土坑1基が見つかりました。


【平安時代の土坑】

縦1.m、横0.5mほどの長方形の土坑です。
底面近くの隅から平安時代の土器(坏)が見つかりました。割れていますが、もとの形に復元することができそうです。


【縄文土器】

見つかった縄文土器の一部です。
土器の表面に粘土紐を貼り付けその上から竹を半分に割った道具などでつけた模様、円や弧を描いた模様、縄目模様が見られます。中央右寄りの破片は小さい穴があけられた浅鉢形の有孔鍔付土器です。


【石器】

写真は石鏃や石錐、石匙、石核です。国史跡星ヶ塔の黒曜石原産地遺跡に近いためか、黒曜石がたくさん出土しました。なかにはチャートや頁岩製の石器もわずかに見つかっています。


【石皿】

前回紹介した大きな礫がたくさん見つかった土坑の礫の中に石皿が含まれていました。縦40cmほどの楕円形をした円礫の中央部(灰色の部分)はすべすべしています。ドングリなどをすり潰したのでしょうか。

カテゴリ:一の釜遺跡,南信,調査情報

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