【 穴99個発見! 何に使った?】
遺跡からは、たくさんの穴がみつかっています。これまでにみつかった穴は99個。場所や組合せ、形や大きさ、土の埋まり方、出土遺物など、さまざまな要素を手がかりにして、私たちは穴の用途を考えていきます。今回はそのなかのいくつかを紹介します。
遺跡の西側と南のはずれで、直径が約1mの円形で、深さが約1.2mの深い穴がみつかりました。(深い穴は、作業の安全に配慮して、半分に割って調査します。)
【逆茂木(さかもぎ)の跡】
穴の下の方は長方形で、底には直径3㎝、深さ10~15㎝の小さな穴が4か所あります。この穴は、底に杭(逆茂木)を立てた縄文時代の動物をつかまえるための落とし穴と考えられます。
落とし穴の埋土からは、約5500年前の縄文土器の小さな破片が出土しました。
【貯蔵穴(ちょぞうけつ)】
縄文時代の竪穴建物跡の近くからは、直径約1mの円形で、深さ約60㎝の、断面が袋状の穴がいくつかみつかっています。穴の大きさや形から、木の実などを保存した穴(貯蔵穴)と考えられます。
【黄色矢印の穴の断面】
貯蔵穴と考えられる穴は、直径72㎝、深さ60㎝、容量が約245ℓとなります。
狭くて深い穴を掘るのは一苦労なので、移植ごてや両刃鎌は言うに及ばず、おたまやスプーンなど、さまざまな道具が使われます。
縄文人は、穴を掘る道具の打製石斧を棒の先にくくりつけ、硬い土を根気よく突いてほぐし、手のひらなどですくい上げ、穴を掘り進んでいたのでしょう。
うじがみ遺跡ニュースvol.5 2020年7月発行(PDF1.0MB)