Research調査情報

2012年12月4日

奥日影遺跡 平成24年度整理情報(2)

須恵器窯跡から出土した須恵器の接合作業中に、表面や割れ口にブクブクと泡立って膨らんだかたまりをみつけました。大きいもので5mmほどのかたまりをルーペでよく観察したところ、熱を受けて発泡した黒曜石だとわかりました。黒曜石の発泡が原因で、焼成中に割れてしまった須恵器もあるようです。

遺跡やその周辺の地層には、もともと八ヶ岳の噴火で飛んできた黒曜石が含まれています。それらが、偶然混じり込んだと考えられます。この黒曜石の混じる粘土の特徴から、奥日影窯跡で焼かれた須恵器の供給先がわかるかもしれません。


【発泡した黒曜石】

須恵器の蓋(ふた)です。スポンジ状に大きく膨らんでいます。たくさんの気泡が見えます。


【飴状の黒曜石】

須恵器の盤(ばん)です。溶けて飴(あめ)状になっているものもあります。


【自然の地層に含まれる黒曜石】

大きさには大小あります。大きなものはまれで、1cm程度からそれ以下の大きさのものが多そうです。


奥日影遺跡

2012年4月25日

奥日影遺跡 平成24年度整理情報(1)

奥日影遺跡は、平成20・22年度に発掘調査をおこないました。今年度はいよいよ本格整理作業を始めます。遺物の接合や実測、パソコンでの遺構図面作成やデータの整理などの作業をおこなっていきます。

 

【金属器管理カードの作成】

錆びて脆くなった金属器の現状を写真撮影して、保存処理に向けての管理カードを作成しています。

 

【遺構図面の作成】

パソコンを使って、発掘調査で記録された手書き図面をトレースし、デジタル図面を作成しています。

奥日影遺跡

2010年11月24日

奥日影遺跡(5)~最新遺跡情報

【須恵器窯跡の調査】
・ 奈良時代の須恵器窯跡の調査をしています。この写真は、崩落した窯体(ようたい)の天井をはずしたところで、底面から須恵器がまとまって見つかっています。

・窯跡の中は燃焼で熱を受けており、地磁気の分析を行うことで年代が測定できる場合があります。慎重に分析資料を採取しています。

・須恵器窯跡がほぼ掘りあがり、その状態を平面図として記録しています。

・掘りあがった状態を、高所作業車を使い上方から撮影します。図面や写真などの記録が終わり、最終的な調査確認を済ませ、遺跡の調査を終了させます。

奥日影遺跡

2010年9月8日

奥日影遺跡(4)~最新遺跡情報

<お知らせ>
 9月11日(土)、現地説明会を開催します。詳細はホームペ-シ遺跡見学会の゙お知らせ欄をご確認下さい。
 
【遺跡の全景】
・発掘調査地を北側の上空から望んでいます。写真中央が公開する調査場所です。
・まん中にある青いシートの下に、須恵器を焼きあげる窯跡(SK222)があります。
・ぜひ、現地にお越しいただき、遺跡をご覧ください。

【須恵器を焼く窯跡】
・土坑番号222(SK222)の窯跡です。写真の上が焚口(たきぐち)で、下が焼成室(しょうせいしつ)にあたります。焼成室には天井など窯体(ようたい)部分が崩落した状態で残っています。
・現在調査中で、ちょうど見ごろです。

奥日影遺跡

2010年7月15日

奥日影遺跡(3)~最新遺跡情報

掘立柱建物跡を南側から見たようすです。人が立っている位置に建物の柱があります。中世の建物だと思われます。

(2)-1区からは幅約1.5m、長さ約6mの須恵器(すえき)を焼いたと思われる窯跡が、見つかりました。

調査区の東側から見た須恵器窯跡です。試し掘りの細長い溝を掘っています。

同じく、須恵器窯跡を西側から見たところです。窯跡の埋まり方を観察するための土壁をベルト状に一部残して掘っています。

北側から見たところです。手前に灰原(はいばら)があります。灰原には窯からかき出された失敗作品などがたまっています。

灰原から見つかった須恵器です。左はつまみのない蓋、右は高台付きの皿です。うつわの特徴から、奈良時代の須恵器と分かりました。

奥日影遺跡

2010年6月9日

奥日影遺跡(2)~最新遺跡情報

溝跡SD08の発掘調査風景です。溝の埋まり方を観察するためにベルト(土の壁)を残して発掘します。

溝の底から水が湧いてきました。潜水ポンプで水をくみ上げながらの発掘です。

溝SD08を掘り上げた状態を東側から見ています。溝は西から東へ向かって流れていたことが分かりました。

掘立柱建物跡の柱穴などの調査をしているところです。

柱穴などを掘り上げた後で、平面図を作るために測量をします。

奥日影遺跡

2010年5月13日

奥日影遺跡(1)~遺跡紹介

奥日影遺跡の発掘調査は平成20年度に開始され、昨年度は中断していましたが、この春4月12日から再開されました。これまでの調査では中世と思われる掘立柱建物跡や溝跡、小穴が見つかっています。また古墳時代から古代の土器、中世の陶磁器も見つかっています。
 
今年度調査区南部分の(2)-2区を北東側の土山の上から見た様子です。土のうが置いてある所に小穴があります。

(2)-2区を南側から見たところです。小穴を発掘しています。掘立柱建物跡もありそうです。

(2)-2区の東側の(2)-3区の南端です。写真上側に見える現在の町道に並行して溝(SD08)が走っています。溝の深さを調べるために試し掘りをしているところです。幅2m、深さ1mほどありました。まだ遺物が見つかっていないので詳しい時期はわかりません。

奥日影遺跡

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