Research調査情報

2012年4月27日

馬越下遺跡 平成24年度調査情報

-本年度の発掘調査は終了しました-

馬越下遺跡は八ヶ岳東麓から伸びる丘陵上にあり、東側は千曲川、北側は大石川に浸食を受けた段丘崖上に位置しています。遺跡内の地形は、西側の尾根状部、東側の谷状部、その間の緩やかな斜面部から成っています。平成22年に当センターが実施した発掘調査では、斜面部で平安時代の竪穴住居跡3軒・土坑15基等が確認されました。
今年度は230㎡の小範囲の発掘を行いましたが、残念ながら遺構は確認されず、遺物も表土から中世の焼物片が1点出土したのみです。今回の発掘部分は、谷状部にあたり、集落の居住域から外れていると考えられます。

 

【遺跡の全景】

写真左側で重機が埋め戻している所が今回の発掘部分。重機の背後に左から右に下る尾根状部が見えていますが、平成22年の発掘では、ここで平安時代の集落がみつかっています。

 

【発掘の様子】

湧水に悩まされつつ、精査しましたが、遺構は確認されませんでした。

馬越下遺跡

2010年8月6日

馬越下遺跡(3)~最新遺跡情報

4月から開始した調査も8月4日をもって終了しました。約3ケ月の発掘調査で、この千代里地区の山間部にも、平安時代の集落が営まれていたことがわかりました。今回の調査では竪穴住居跡から多量の土器とともに、墨書土器や鉄製品が見つかりました。耕地面積が狭く、しかも冷涼な山間部に、墨書土器や鉄製品を所有する集落が営まれたのか、解明すべき課題が確認されました。
 
墨書土器の一部です。墨書の文字は「井」・「左」でしょうか

 見つかった鉄製品です。上は鎌、下は刀子(小刀です。

 

馬越下遺跡

2010年6月25日

馬越下遺跡(2)~最新遺跡情報

平安時代の竪穴住居跡です。平面で形が分かりづらいので、まず細長く試し掘りをして床跡や壁跡を確かめているところです。

平安時代の竪穴住居跡の発見状態です。黒褐色の土を掘り込んで作られた住居には黒い土が埋まっており、発見には手こずりました。

さっそく黒い色の土を掘り始めます。

なんと西側の壁近くから鉄製の鎌(かま)が見つかりました。

さらに同じ住居跡から鉄製の刀子(とうす)(現代の小刀)も見つかりました。

馬越下遺跡

2010年5月28日

馬越下遺跡(1)~遺跡紹介

 馬越下遺跡は平成20年度の長野県教育委員会の試掘調査によって新しく発見された遺跡です。現在、平安時代の住居跡が数軒見つかっています。佐久平に見られる大規模な集落などとは対象的に、山間地の小規模な集落である点で、古代の集落を考える上で興味深い遺跡となりそうです。
 
千曲川東岸から遺跡を見たところです。遠くに八ヶ岳を望みます。

西側から見たところです。段丘上の小さな谷地形にあります。

ジョレンを使って地面を平らに削りながら遺構を見つけているところです。遺構の埋土が地山の土に似ているため、見落としがないようにいつにも増して慎重に作業をしています。

馬越下遺跡

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