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東條遺跡ほか

ふりがな
ひがしじょういせきほか 
住所
千曲市大字八幡字東條ほか  マップ
立地
姨捨土石流台地から連なる押し出し地形の末端部 
事業名
国道18号坂城更埴バイパス 
調査期間
平成14-19年 
時代
弥生-近世 
遺跡の種類
集落跡・墓跡 
備考
東中曽根遺跡西中曽根遺跡峯謡坂遺跡 

2011年2月28日

東條遺跡 平成22年度 整理情報(1)

中世
―修復後初公開の中世漆器―
東條(ひがしじょう)遺跡は千曲市大字八幡にあり、姨捨の棚田で知られる急傾斜地の麓に位置します。遺跡の一帯は山側からの土石流や河川の氾濫などによる土砂で形成されています。遺跡では1mほど掘り下げると地下に浸透していた水が湧き出します。このため一般に土中では残りにくい中世(鎌倉~室町時代)の漆器を含む木製品が出土しました。
 
 発掘調査は平成14(2002)年度から19(2007)年度にわたります。その経過は過去の速報展でも紹介し、木製品を水浸け状態で公開してきました。今回は木製品のうち保存修復を済ませた漆器を初公開します。
 
漆器の保存修復
漆器は長期間にわたり湿潤な地中に埋もれていたため、取上げ後から乾燥による劣化が進みます。劣化には木地と漆膜との収縮率の違いによるひび割れや、漆膜の剥奪、木地の変形が考えられます。これらの進行を防ぐために、漆器の保存修復を行いました。 保存修復には「高級アルコール法」を採用しました。方法は木地の水分を特殊なアルコールに入れ替えて、乾燥させます。この高級アルコールは非水溶性で非吸湿性なので、外気の湿度に影響されることはほとんどありません。漆器を常温・常湿の室内で保管できますので、今回、展示が可能となりました。

 
遺跡から出土した木製品の総数は約5,000点におよびます。製品には、漆器・櫛・さじ・下駄・絵馬状木製品・曲物(まべもの)・祭祀具(刀形・陽物(ようぶつ)・琴柱(ことじ))・杓子(しゃくし)・樹皮製品・栓・鞘(さや)・塔婆・柄・編物・木簡・木釘・建築部材・井戸枠など、多種類確認できました。
このうち漆器は破片を含めて150点ほど出土しています。このなかで比較的残りが良い椀・皿など15点を保存修復しました。椀・皿のほとんどが外面内面とも黒漆塗りで、内面には朱漆で草花の植物文様や鶴などの文様が描かれています。

 
漆器は「japan」
漆器は木や紙に漆を塗り重ねてつくる器です。漆は「ウルシノキ」からとった樹液で、東アジアでしか栽培されていません。漆器は英語で「japan」と呼ばれているほど、日本の伝統工芸品として知られています。遺跡では縄文時代早期(約9,000年前)から漆が使われています(※北海道垣ノ島B遺跡で早期の漆製品出土)。漆器には黒漆や朱漆が用いられ、中世以降、蒔絵(まきえ)・螺鈿(らでん)・漆絵などの製作技法が用いられ、伝統工芸品として現代に受け継がれています。

カテゴリ:東條遺跡ほか

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