【安塚古墳群の発掘調査がはじまりました】
昨年度に引き続き一般国道158号(松本波田道路)改築に伴う安塚古墳群の発掘調査をこの4月中旬からはじめました。昨年度同様、調査は(株)島田組に発掘支援業務を委託し、用地内にタンポポが広がる季節から11月後半までを予定しています。
調査の期間中、大型重機をはじめ、車両が出入りしますので十分ご注意ください。また、調査区域内には危険な場所もありますので、許可なく立ち入らないようにお願いします。発掘の見学を希望する方は、事前にご連絡ください。皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

現場に設置したプレハブ
【昨年度の調査成果】
安塚古墳群は、松本市新村・和田地区に分布する7世紀~8世紀の古墳群です。松本波田道路は、遺跡範囲の南端を東西方向に横断し、昨年度末の時点で、用地内に5基の古墳(第12号から16号古墳)が存在することがわかっています。

安塚古墳群の遺跡範囲(黄色塗り)
(松本市文化財課からの提供図に加筆。赤色数字:古墳の番号)
昨年度は、みつかっている5基の古墳の内、1基(第13号古墳)を調査しました。古墳の盛土(墳丘)と墳丘のまわりをめぐる溝(周溝)は確認できませんでしたが、梓川から運んだと考えられる河原石を積む石室が残っていました。石室から時期がわかる土器は出土しませんでしたが、近くにある第15号古墳の検出時に出土した土器から、8世紀中頃の古墳と推測します。今年は、第14号・16号古墳を調査しますので、古墳の姿がさらにわかるものと思われます。

第13号古墳の調査風景

用地内での試掘箇所と古墳発見地点(赤星)
(黄色・黒色・緑色・青色箇所:試掘箇所)
【今、再び脚光を浴びている安塚古墳群】
都では、646年(大化2)に葬儀や墓の規模を簡素化することを目的とした「大化の薄葬令」が発布されます。松本市の西部には、7世紀から8世紀に造られた安塚古墳群・秋葉原古墳群(松本市新村)・真光寺古墳群(松本市波田)が分布しています。なぜ古墳時代から古代へ移り変わる過渡期に、この地に数多くの古墳が造られたのでしょうか。
昨年度、当センターが松本市のキッセイ文化ホールで速報展「掘るしん2025」を開催しました。当センターが安塚古墳群を調査したことを切っ掛けとして、会期中には安塚・秋葉原古墳の先行研究者、古墳研究者、当センター安塚古墳群調査担当者で「奈良時代の信州に古墳はあったのか」と題したパネルディスカッションを行いました。当時の時代背景や、上記3遺跡の古墳群が造られた意義などについて議論し、聴講された一般の方々から注目をあつめました。
安塚古墳群の調査対象面積は21,000㎡で、東京ドーム(グラウンド部分)の約2倍に及びます。これから数年間に及ぶ発掘調査の成果は、地元在住の方や古墳の研究者など多くの方が関心をもっています。発掘調査により、地域の歴史がより明らかにできることを期待します。