Research調査情報

2016年10月26日

ひんご遺跡発掘終了しました。

10月5日に発掘調査が終了し、今年度もたくさんの遺物と遺構がみつかりました。

【墓跡1】

石で囲まれたお墓がみつかりました。墓の上には大きな平たい丸石が置かれていました。


【墓跡2】

石を外して掘り下げると、北隅に鉢形の土器が伏せられていました。この鉢の下から粉状の骨がみつかりました。
遺体の顔の上に伏せて置かれたものと考えられます。



【フラスコ形土坑】

底の直径が約2mのフラスコ形土坑が1基みつかりました。形と大きさから貯蔵穴と考えられます。底の裾には石が置かれています。埋め土から王冠型土器を含む縄文時代中期の土器片が出土しています。



【竪穴(たてあな)住居跡】

立派な石囲い炉を持つ縄文時代後期前半の竪穴住居跡です。壁際に屋根を支える柱穴跡がめぐっています。



【石囲い炉】

炉跡のアップです。石組みの内側に炉の壁や底として利用された土器が重ねて設置されていました。



【柱穴群】

たくさんの柱穴群がみつかりました。大きく深く掘られた穴には建物を支える柱が建っていたと考えられます。



【柱を補強する石】

柱穴跡の中には柱材の周りに根本を補強する石が埋め込められたものがあります。



【敷石住居跡】

石囲い炉の周辺から出入口に石が敷き詰められた、敷石住居跡がみつかりました。


【炉跡】

敷石住居跡の炉のアップです。画像奥に出入口があり、敷石が連なります。炉内には土器が設置され壁は赤くやや焼けています。



【調査終了】

埋戻し風景です。昨年度に始まった一連の発掘調査はこれで終了となります。

ひんご遺跡

2016年8月1日

ひんご遺跡 H28年度調査情報(2)

調査開始からおよそ2ヶ月、次々と縄文時代の集落が姿を現しています。

【作業風景】

遺物包含層(いぶつほうがんそう)の掘り下げの様子です。画面を横断するベルトの高さの分、縄文時代の包含層を掘り下げました。包含層にはたくさんの遺物が含まれています。


【遺跡の層序】

調査区西端の地層です。黒褐色の遺物包含層の上を灰黄白色の水成堆積層が1m以上溜まっています。


【敷石住居跡】

昨年から数えて4軒目の敷石住居跡が見つかりました。炉の部分から画像手前の出入り口部分に石が敷き詰められています。


【敷石住居跡の炉跡】

敷石住居跡の石組み炉。大きな石で四角く組まれています。炉の中には土器が埋められていました。


【炉跡2】

敷石住居跡とは別の住居の炉跡です。こちらは土器は埋められていますが、石はありません。


【配石遺構】

直径50cm程度の扁平で丸い石を小さな石で囲んでいます。周辺には多くの土器片があります。


【土偶】

土偶の胴上半部です。背中を上にして見つかりました。


【土器出土状況】

縄文時代後期の土器の出土状況です。


【石皿】

石皿の出土状況です。裏側には四角い脚がつけられています。1/2程欠けています。


【火焔型土器】

多くはないですが、火焔(かえん)型土器もあります。


【台付土器】

台付きの鉢あるいは深鉢です。

ひんご遺跡

2016年6月23日

ひんご遺跡 平成28年度調査情報(1)

6/1に発掘調査を開始しました。今年度は主任調査研究員2名、作業員21名で9月末まで調査を行う予定です。

 

【表土掘削開始】

最初にバックホーで表土を取り除きました。深いところは2m以上掘り下げます。



【石皿発見】

早速、縄文時代の石皿をみつけました。




【調査の様子】

表土を取り除いた後、黒褐色の遺物包含層を掘り下げています。この地層に大量の縄文土器片が含まれています。



【縄文時代の土器】

縄文時代後期の土器出土状況




【蓋形(ふたがた)土器】

蓋形土器が出土しました。破損していますが、左上に把手(とって)の部分があります。



【土偶】

仮面土偶の頭部(額の上の部分)が出土しました。


 

ひんご遺跡

2015年12月24日

ひんご遺跡 平成27年度調査情報(3)

11月13日に今年度の調査が終了となりました。

敷石住居跡3軒、竪穴住居跡18軒、配石遺構5基、粘土採掘坑1基、土坑167基、土器集中11カ所、焼土跡5カ所と多くの遺構が発見され、これまで知られていなかった縄文時代後期の集落跡の存在が明らかとなりました。

発掘調査は来年度もおこなわれる予定で、さらなる発見も期待できます。

 

【竪穴住居跡】

縄文時代後期の竪穴住居跡です。掘り込みが1m以上と深く、中央には石組の炉がみつかりました。

 

【石を込めた柱穴跡】

地面に穴を掘り、石を込めた中央に柱を立てた跡が複数みつかりました。建物があったかはっきりしませんが、かなり大きな石が使われてます。

 

【粘土採掘坑】

粘土を採掘した跡がみつかりました。

 

【調査区遠景(東より)】

縄文時代の地層まで掘り下げると、画像左にある千曲川に下る斜面が姿を現します。この斜面の落ち際から竪穴住居跡や土坑がみつかりました。来年度は画像奥の黄色い重機の下を調査する予定です。

ひんご遺跡

2015年9月18日

ひんご遺跡 平成27年度調査情報(2)

【調査区全景】

調査区東側の様子。第一面は縄文後期の敷石住居跡、配石遺構を調査しました。


 

【敷石住居跡】

調査区のほぼ中央部分で立派な柄鏡形敷石(えかがみがたしきいし)住居跡が発見されました。写真中央の石組が柄鏡形住居跡の柄の部分にあたります。


 

【敷石住居跡と列石】

写真右側、円形状の石組が柄鏡形ではない敷石住居跡です。その奥の壁側には(写真の左)、大きな河原石を並べた配石がありました。


 

【土偶の顔】

土偶の顔の部分が出土しました。遺跡では「ひんごさん」と呼んでいます。

ひんご遺跡

2015年7月23日

ひんご遺跡 平成27年度調査情報(1)

7月1日に下水内郡栄村豊栄のひんご遺跡の発掘調査が始まりました。長野県埋蔵文化財センターの栄村での発掘調査は今回が初めてです。

 

【発掘調査始まる】

重機で表土を取り除いた後に、縄文時代後期の遺物包含層の掘削を始めました。

 

【ひんごの地層】

一番下の黒い地層から縄文時代後期の土器片等がたくさんみつかります。

その上の白っぽい層は砂や粘土が互層となる水成堆積層です。千曲川が運んできたのでしょうか。

 

【出土した縄文時代後期の土器1】

注口土器の取手部分の破片。渦巻き模様が描かれた立派な装飾が施されていました。

 

【出土した縄文時代後期の土器2】

浅い鉢形土器の口縁部破片。こちらも縁の内側に渦巻き模様が描かれています。

 

【敷き詰められた石の遺構】

縄文人が敷き詰めた石の遺構が出てきました。住居跡になるのか墓跡になるのか、早く全体を見てみたいです。

ひんご遺跡

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