-弥生時代の甕を観察する-
平成23~25年度にかけて発掘調査を行った琵琶島遺跡の本格整理作業を行っています。来年度の報告書刊行にむけて、掘立柱建物跡などの遺構図面を整理したり、出土した土器、石器を観察、分類し、実測図作成を進めています。今回は、その作業の中で改めて気づいた土器の文様について紹介します。
弥生時代の甕を観察しながら、方眼紙の上に、実寸大の大きさで形や文様を描いていきます。文様の描かれた順番も大切です。
弥生時代中期後半、栗林式の甕の胴部に、連続的に棒状のものを押し付けた文様が見られます。その先端の内部をよく観察すると、細かな粒状の痕がギッシリと詰まった文様が観察できます。同じ時期の長野市南曽峯遺跡、松原遺跡でも、同様の文様を見つけることができます。簾状(れんじょう)工具の先端を押し付けた痕跡なのでしょうか?
もう一つの文様は、やはり栗林式の甕の胴部につけられたイモムシのような文様です。連続した刻みの内部は、等間隔に平行した線が走っています。柾目(まさめ)の木材の小口痕でしょうか?今後、つぶつぶ文様と合わせて、施文実験等も含めて追及していきたいと考えています。