平成31年4月に開始した今年度の発掘作業は、冠着山が雪化粧した12月をもちまして終了しました。
平成25年度から開始した坂城更埴バイパス改築に伴う塩崎遺跡群、石川条里遺跡、長谷鶴前遺跡群の発掘作業は、市道の一部を残して終了することになります。
長野市篠ノ井塩崎地区の皆様には、大変お世話になり、ありがとうございました。
今年度は、おもに平安時代とこれまでの発掘では明確ではなかった古墳時代の遺構・遺物がみつかりました。
県道長野上田線に近い調査区で、4条の杭列と遺物集中がみつかりました。杭列は、ほかの調査区で確認した古墳時代の大畦とほぼ同じ方向に延びており、土地を区画するためにつくられたものと思われます。杭列の一角に遺物が集中していました。
【杭列と横木】
4条ある杭列のなかで、もっとも東側の杭列には、杭列に沿って自然木が埋設されていました。杭列を保護する目的で設置されたと思われます。
【遺物集中での作業風景】
長辺約5m、短辺約3m、深さ約30cmを測る不整形な落ち込みがみつかりました(検出面からの計測値)。底面にこまかな凹凸があります。この落ち込み(SX002)からは多量の木材と土器が廃棄された状態で出土しました。木材は自然木が大半を占めていましたが、農具や建築部材と思われるものもみられました。
【遺物集中】
SX002からは供献(きょうけん)用の小型丸底(こがたまるぞこ)土器や高坏(たかつき)が出土しましたが、特に小型丸底土器の出土割合が多いことが特徴的でした。SX002の周辺で行われた非日常的な行為で用いられた土器が廃棄されたものと思われます。
【小型丸底土器出土状況】
【ミニチュア土器】
小形丸底土器を模した非常に小さいミニチュア土器も1点出土しました。土器の口径は約3cmで、土器の縁から底までは約5cmを測るものです。