【安塚古墳群の発掘調査が始まりました】
6月3日(月)から10月中旬までの予定で、松本市和田蘇我地区の北側で安塚古墳群の発掘調査を行っています。
【安塚古墳・秋葉原古墳とは】
松本市の新村地区には、7世紀末から8世紀にかけて築造された古墳が数多く分布しています(安塚古墳群・秋葉原古墳群)。江戸時代の開田で土饅頭のかたちに似た古墳特有の盛土は削られてしまいましたが、圃場整備に先立ち松本市教育委員会が行った発掘調査では、安塚古墳群(1978年発掘)で9基、秋葉原古墳群(1982年発掘)で5基の古墳がみつかっています。
これらの発掘調査に携わった直井雅尚氏は、この新村地区の一大古墳群は、島立地区に分布する古代集落(南栗遺跡・北栗遺跡・三の宮遺跡など)の墓地と考える重要な指摘をしています。※直井雅尚1994「松本市安塚・秋葉原古墳群の再検討」『中部高地の考古学Ⅳ』長野県考古学会
【昨年度までの調査成果】
令和4年度には、地中に向けて高周波の電磁波を放射し、その反応で古墳の存在を確認する地中レーダー探査を行いました。令和5年度には、地中レーダーで反応を示した箇所に重機で幅2mのトレンチを碁盤の目のように掘削して、古墳などの遺構や遺物の存在を確認する調査を行いました。その結果、2基の古墳が確認され、松本市教育委員会の試掘調査で確認された古墳を含めると、調査対象地内に5基の古墳があることがわかりました。
本年度は、今まで確認された5基の古墳のなかで第13号古墳を調査し、さらに用地内にいくつ古墳が眠っているかを確認する調査を行います。今までの調査で、第13号古墳の石室と、古墳の周りに円形の穴(土坑)がみつかっています。
これからの調査で、石室の規模や形状、石室の中に副葬された遺物が発見されることが期待されます。