飯喬道路建設に伴う発掘調査で出土した鬼釜遺跡・風張遺跡・神之峯城跡の遺構・遺物の詳しい内容をまとめる作業が進んでいます。今年度末の報告書刊行を目指し、スタッフが様々な作業を分担して進めています。
遺構の平面図や断面図はパソコンを使ったデジタルトレースで仕上げます。遺構の重なりや土の堆積の状況をていねいに描き込んでいきます。
遺構のどの地点からどんな遺物がどのくらいの量出土したのかをまとめるため、観察の後、重量を測定しています。鬼釜古墳の周溝では、北側に6世紀前半の土器が、南側に6世紀末~7世紀の土器がまとまって出土しているようです。
鬼釜遺跡では縄文時代の住居跡や土器捨て場がみつかり、中期後葉の土器が多数出土しました。整理作業のなかで、下伊那地域特有の唐草文系土器(下伊那タイプ)と、東海地方に分布する中富(なかとみ)式土器の影響を受けたと考えられる土器とが、最も多く出土していたことがわかりました。このことは天竜川西岸にある同時期の遺跡と共通します。
現在、土器の実測図をもとに、文様などの表現を工夫しながらていねいにトレース中です。