平成31年4月に開始した発掘作業は令和元年11月をもちまして終了しました。辰野町の皆様には、多大なるご協力をいただき、大変ありがとうございました。
沢尻東原遺跡では約1.8haという広大な範囲を調査し、縄文時代中期(約5000年前)の竪穴建物跡49軒を調査することができました。
今後は報告書作成に向けて本格的な整理作業が始まります。
今後とも地域の皆様のご理解、ご支援をよろしくお願いします。
【沢尻東原遺跡の全景】
小さな丸い影が竪穴建物跡です。
1時期のムラは5~10軒程と考えられます。縄文時代中期ごろ、数百年の間に何世代もの人々が住んでいたことがわかりました。
点線の範囲では埋甕群がみつかりました。
【土器片を敷いた埋甕炉】
竪穴建物跡の中央には囲炉裏(いろり)がつくられています。
この建物跡の炉は深鉢の底を抜いて炉にし、底には土器片が敷かれていました。
【土偶を発見】
沢尻東原遺跡では土偶が7点みつかりました。
完全な形ではなく、いずれも顔、胴、手などの
破片です。縄文時代の遺跡では土偶が割れた状態で
発見されることが多く、縄文人が何らかの意図をもち、
土偶を割り、捨てたと考えられます。
【埋甕群を発見】
竪穴建物跡が分布する範囲の内側で約15基みつかりました(写真1の点線範囲)。
深鉢の中から骨片が出土する例があり、墓の可能性が高いと考えられます。
深鉢の大きさからみて乳幼児の墓が特定の場所にまとめてつくられた可能性があります。
【埋甕の出土状況】
大きな深鉢を用い、地面にほぼ垂直か、やや斜めに
埋められています。
【埋甕の出土状況】
埋甕は接近して埋められたり、離れた場所に単独で埋められる例がありました。また埋甕の中からは拳大の石や凹石などが出土する例もありました。
今後、埋甕の分布状況や、出土資料を検討し、その性格を検討していく予定です。