Research調査情報

2025年9月22日

南栗遺跡2025年度発掘調査情報(2)

 4月に始まった発掘調査も後半に入りました。今年度の発掘調査で発見した竪穴建物跡は90軒を超え、松本盆地最大級の古代集落がさらに広がることが判明しました。

 今年度の発掘調査は12月上旬までを予定しております。発掘の見学を希望される方は事前にご連絡ください。皆様のご理解とご協力をお願いします。

 

【現地説明会を開催しました】

 9月13日(土)に現地説明会を開催しました。地元の皆様を中心に、93名のご来場がありました。誠にありがとうございました。

 本号では、現地説明会当日に多くの方から注目された部分を抜粋してご紹介します。

 

【発掘調査の成果について】

 これまでの調査で竪穴建物数は調査範囲の南側で減少する傾向があり、調査範囲付近が集落の南端であることが判明しました。調査区の南側には鎖川が流れており水害の影響を受けやすい場所であたため、洪水を避けた場所にムラを形成したのではないかと考えられます。また今年度は、今までより西側の和田地区側に調査範囲を広げた所、竪穴建物跡が数多く確認されており、集落がさらに西方へ広がることがわかりました。

1区空撮状況(北東から)

3区空撮状況(東から)

 

【家の中の灯り】

 竪穴建物跡からは建物内の照明に用いた器が出土しました。日常使用する食器(碗や皿)に油を注ぎ、麻やい草から作った芯を浸して明かりを灯しました。食器の縁には黒い煤がついています。

灰釉陶器の椀を用いた燈明皿

 

【壊されたカマド】

 竪穴建物跡の壁には調理場であるカマドが作られます。粘土でカマドの壁と天井を形作り、壁の芯材には大きな石を使い、天井には穴を開けて煮炊きをする甕を差し込みます。調査中、多くのカマドは破壊された状態でみつかります。カマドは火の神が宿る特別な場所と考えられており、建物を廃棄する際にカマドを破壊する習慣が存在したようです。この建物では、カマドの一部を破壊し、その後、火床の上に支脚石を叩き折って置き、さらにその上に底を抜いた甕を立て、周りを芯材の石(花崗岩)で囲う様子が確認できました。

カマド(使用時)

カマドの構造

長野県埋蔵文化財センター2005『三角原遺跡』

壁の芯材を一部残す壊されたカマド

奥壁に底を抜いた甕を立てて、周囲を芯材の石で囲むカマド

 

南栗遺跡発掘だより2025年度第2号(PDF: 1261KB)

カテゴリ:中信,南栗遺跡,調査情報