Research調査情報

2026年6月29日

長野市 川田条里遺跡 2026年度発掘調査情報(2)

【室町時代の遺構を発見】

 認定こども園川田の東側に隣接するT10調査区の発掘調査を行っています。これまでの調査では、室町時代と推定される150基を超える土坑や、溝跡などが検出されています。これらの遺構やその周辺からは、土器や陶器、磁器などとともに、鉄滓(鍛冶を行う際にでる鉄くず)やふいご羽口(鍛冶炉へ空気を送り込むための土製送風管)、るつぼ(鋳造を行う際に溶けた金属を入れる容器)などといった鍛冶に関連する遺物が出土しています。過去に認定こども園川田のある場所で実施された発掘調査の際にもこれらの遺物が出土しており、調査地周辺に川田氏館跡に関わる工作空間が存在したものと考えられます。

発掘調査の様子(東から撮影奥の建物は認定こども園川田)

 

【時代を示す遺物】

 土器などの遺物は、作り方や素材などに一定の決まりがあり、それを観察することによって、つくられた時代や地域などを推測することができます。発掘調査の際に建物跡や溝跡などを「〇〇時代のもの」と推定することができるのも、出土した遺物などから時代を推測しているからです。ここでは、今回の調査の年代推定につながった、室町時代の遺跡に出土する遺物をご紹介します。

 

内耳鍋

 囲炉裏等の上に吊り下げるために、土器の内側に取手(耳)を有する土器です。現在の鍋のように煮炊きに使用されました。室町時代頃から見られるようになります。

内耳鍋出土状況(赤矢印)

内耳鍋完形イメージ図

 

かわらけ(ろくろ成形)

 かわらけは小形の皿や埦形の土器で、宴会等の場で使用されたと考えられています。

 鎌倉時代頃から見られますが、時代ごとに作り方が異なり、鎌倉時代には「手づくね」で作られていたものが、室町時代頃からは「ろくろ」で作られるようになります。

かわらけ出土状況(赤矢印)

 

かわらけ(ろくろ成形)

 

【現場公開を実施します】

 現在、T10調査区2次面の調査を行っています。地元の皆さんにはすでに回覧いたしましたが、7月1日(水)と2日(木)の両日、午前10時から11時30分まで発掘調査現場の公開を行います。ここで紹介した遺物の展示も行いますので、ぜひお越しください。

 

川田条里遺跡発掘だより2026年度第2号(PDF:1.11MB)

カテゴリ:北信,川田条里遺跡,調査情報