西一里塚遺跡群・濁り遺跡・久保田遺跡
報告書刊行へ向けて整理作業進む!
平成21年度から整理作業を進めてきた、佐久市西一里塚遺跡群・濁り遺跡・久保田遺跡は3月の報告書刊行へ向けて最終段階に来ています。
これら3遺跡は、佐久平駅の南の濁川右岸に位置しており、23,000年前の浅間山を構成する黒斑山の噴火による塚原土石なだれの残丘(流れ山)と低地、微高地という多様な地形の上に営まれていました。
濁り遺跡と久保田遺跡は隣接し、一連の遺跡と考えられます。掘立柱建物跡2棟と溝1条と土坑が発見され、9世紀後半の集落跡であることがわかりました。
西一里塚遺跡群は微高地と流れ山上には弥生時代中・後期の集落域と墓域が展開し、低地では平安時代以降の水田跡が計4面も発見されました。
【木棺墓からみつかった鉄釧】
西一里塚遺跡群の弥生時代の墓跡には、方形周溝墓、円形周溝墓、木棺墓、土器棺墓があります。円形周溝墓の1基からは鞘付の鉄剣が、木棺墓の1基からは鉄釧がみつかりました。鉄釧には絹の繊維が付着していたことがわかりました。
【人形土器】
西一里塚遺跡群の墓域からは、ほぼ全体像がわかる人形土器(ひとがたどき)の出土がみられたことも調査成果のひとつです。全長約28cm、弥生時代後期の遺物と思われます。頭部は平成16年、左腕部は平成17年度、胸部以下は整理作業でみつかり、全体像がわかりました。
【弥生時代の農具:鍬身】
西一里塚遺跡群出土。佐久地方では調査事例が少ない低地から、木製品が約240点出土しました。弥生時代の木製品は珍しく、なかでも農具(鍬身・鍬柄・木鎌など)や建築部材(破風板など)の出土が注目されます。
【弥生時代の農具:鍬柄】