上滝・中滝・下滝遺跡は、滝川左岸の段丘上に細長く延びている遺跡です。一昨年度の遺跡南側の確認調査では遺構は見つかりませんでしたが、本年度の調査ではこれまでのところ、縄文時代の住居跡1軒、土坑1基、古墳時代と古代の竪穴住居跡8軒、古代の溝1条などが見つかっています。
古墳時代前期(約1,700年前)の竪穴住居跡です。住居内からは焼けて炭化した材が多数みられ、焼失した可能性があります。
平安時代の初め(約1,200年前)の竪穴住居跡です。北壁中央にカマド(写真上)がありますが、手前を最近掘られたごみ穴に壊されていました。
平安時代の竪穴住居跡の中には、大きな石で築かれた立派なカマドもあります。
東海地方で作られた灰釉陶器(かいゆうとうき)という壷(つぼ)(瓶(へい))の底の部分です。直径40cmほどのだ円形の穴の上面で見つかっています。
北裏遺跡群は、虚空蔵山(こくぞうさん)の北側台地上から片貝川が流れる低地にかけて広がっています。今年度は昨年度調査した低地の上にあたる台地上の調査を行っています。
今年度の調査予定面積は10,180㎡で、台地の落ち際の北から、丘陵裾の南に向かって調査を進めています。およそ2,500㎡の表土剥ぎが終わり、弥生時代中期と古代の竪穴住居跡が20軒以上見つかっています。遺構の密度が高いことから、かなり大きな規模の集落があったことが分かってきました。
虚空蔵山物見台から北に向かって手前から北裏遺跡群、佐久平、浅間山を望みました。
調査区南西側から見た調査風景です。写真手前左側の土が黒い部分には竪穴住居跡がありそうです。
河原石を敷詰めた上に木製の棺を設置する弥生時代の墓跡、礫床木棺墓(れきしょうもっかんぼ)と思われます。
古代の竪穴住居跡内にあるカマド付近の掘り下げをしています。たくさんの土器が見つかっています。
竪穴住居跡の調査風景
弥生時代の竪穴住居跡の調査風景
弥生時代の磨製石斧(ませいせきふ)です。
弥生時代中期初頭の土器です。信州の弥生文化が始まったころの土器です。
古代(平安時代)の土器片です。
弥生土器と石鍬
縄文時代中期初頭の土器片です。
奥日影遺跡の発掘調査は平成20年度に開始され、昨年度は中断していましたが、この春4月12日から再開されました。これまでの調査では中世と思われる掘立柱建物跡や溝跡、小穴が見つかっています。また古墳時代から古代の土器、中世の陶磁器も見つかっています。
今年度調査区南部分の(2)-2区を北東側の土山の上から見た様子です。土のうが置いてある所に小穴があります。
(2)-2区を南側から見たところです。小穴を発掘しています。掘立柱建物跡もありそうです。
(2)-2区の東側の(2)-3区の南端です。写真上側に見える現在の町道に並行して溝(SD08)が走っています。溝の深さを調べるために試し掘りをしているところです。幅2m、深さ1mほどありました。まだ遺物が見つかっていないので詳しい時期はわかりません。
遺跡は小諸市東南部、御影新田地籍にあります。佐久市との境に位置し、隣接する佐久市近津遺跡群とは行政区が異なるため、遺跡名は別になっていますが、同じ湧玉川左岸の田切り台地にひろがる一連の遺跡と考えられます。
中部横断自動車道建設に伴う鎌田原遺跡の発掘調査は、平成13・14年度に次いで2回目となり、今回は4,500㎡が対象となりました。あわせて14,300㎡の調査を行ったことになります。
前回の調査でみつかった竪穴住居跡は古墳時代前期のもの8軒と古墳時代後期のもの2軒でしたが、今回は平安時代後期の竪穴住居跡3軒が発見されました。11月初旬で発掘調査は終了しました。
平安時代の竪穴住居跡を掘り下げています。この付近では、1万数千年前の浅間山の噴火により流下した火砕流(浅間第1軽石流)が基盤層となっています。
人が入っている穴が柱の立っていた跡です。カマドは北東隅のコーナーにつくられています。
カマドは大変残りが良く、石組みがそのまま残っていました。
石組みの様子を、図面に記録しながらカマドの調査を進めました。
遺跡は八ヶ岳東麓、麦草峠の黒曜石が点在する大石川と千曲川が合流する北西側の段丘上にあります。今回の調査は中部横断自動車道の建設に伴うもので、これまでの調査で、旧石器時代の黒曜石製の石器や剥片(はくへん)など約1,500点が出土しています。また、縄文時代の土器片・石器、古代の土器片も少量ですが出土しています。
北側の谷状の地区からは、溝跡や土坑が検出されました。縄文時代の石斧(せきふ)・石鏃(せきぞく)などの遺物も少しですがみつかっています。
南側の尾根上の地区からは、黒曜石で作られた尖頭器(せんとうき)・細石器(さいせっき)・細石核(さいせきかく)などの石器や剥片(はくへん)がみつかっています。ほとんどが耕作土からの出土ですが、約1,500点もみつかりました。
出土した細石核。細石核は、小さな長方形でカミソリのような鋭い石器をつくりだすもととなった石です。
石器の分布や密度の傾向を把握して、石器製作を行っていた場所などを推測する資料とするために、石器の出土位置を1点ずつ記録します。